当事者批評は、患者の側が作品論ないし作者論をおこなうことで自己の体験世界を表明する点で、「逆病跡学」と位置づけられると考える。本書は、そのようなものとしての当事者批評を、論集のかたちで実践し、筆者の体験世界を改めて立ちあげていく。それはどのような体験世界か? 筆者が、さまざまな創作者をじぶんの分...
今年は過去数年間のうちで、もっとも手応えをもって読書できた一年だったと思う。読みながら考え、考えながら読む。理由はおそらく、積極的に本文に書き込むようになったこと、それと、メモ帳を普段から使い倒すようになったことだろう。それは書きながら読み、読みながら書く作業だ。そうして自分のなかに地図を引きな...
2023年11月30日時点での既刊及び刊行予定の講談社文芸文庫全1,307点(日本1,235点/海外72点、ワイド版を除く)をあげた。 文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。 編者、訳者は一部を除き割愛した。 【日本文学】 阿川弘之『舷燈』 阿川弘之『青葉の翳り 阿川弘之自選短篇集』 阿川弘之『鮎の宿』 阿川弘...
ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連本を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「本を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2023年9月号より転載。 今年、2023年は関東大震災から100年の年である。 1923...
初めての文学フリマの原稿が昨晩まで終わらなかったため、7月が振り返れません!! ということで、今回はさきに読んだ本の記録だけ残します。7月もとても良いお店との出会いがあったので、それについてはのちほどまた書いていきます。 それでは先月読んだ本をササっと。 ソン・ウォンピョン『プリズム』 田辺聖子『古...
「されば朝(あした)には紅顔ありて、夕(ゆふべ)には白骨となる身なり」。葬儀の際によく読まれる蓮如上人の「白骨の御文章」は、美文として語り継がれている。朝は元気だったのに、夕方には白骨となってしまうという、人の世のはかなさが切々と述べられている。 追悼のことばは美しい。この世にいなくなってしまった...
1850年 曾祖父・八三郎生まれる。 1855年(安政2)内ノ子騒動 1866年(慶應2)奥福騒動 1894年(明治27)父・好太郎生まれる。祖母はフデ。 1902年(明治35)母・小石生まれる。 1914年(大正3)20歳の父と12歳の母が結婚。 1919年(大正8)祖父この頃死ぬ。数え五十歳。 1923年( 12) 姉・一生まれる。 1924年4...
興奮冷めやらぬままこれを書いている。すごいノンフィクションを読んだ。大晦日に読み始め、気がついたら年が明けていた。この本は読み始めたら途中で止めることができない。 ある未解決事件の謎に単身挑んだジャーナリストが、ファクトを丹念に積み上げ、真相に迫る。ところが、あらゆる可能性を吟味し、これしかないと...
「逝きし世の面影」などの著作や、作家の故石牟礼道子(いしむれみちこ)さんの執筆活動を長年支えたことで知られる日本近代史家の渡辺京二(わたなべ・きょうじ)さんが二十五日、老衰のため死去した。九十二歳。京都市出身。葬儀・告別式は二十七日午後一時から熊本市東区健軍四の一七の四五、真宗寺で。喪主は長女山...
代表作「逝きし世の面影」をはじめ、日本の近代を問う多くの著作を残し、4年前に亡くなった作家の石牟礼道子さんを支えた評論家の渡辺京二さんが25日、熊本市の自宅で老衰のため亡くなりました。92歳でした。 渡辺京二さんは、京都府で生まれ東京の大学を卒業後、両親の出身地だった熊本で「公害の原点」と言われる水俣...
「石牟礼道子」に関連する商品は見つかりませんでした